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ニコラ・ドートリクール&ユホ・ポホヨネン

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今回のお二人の共演についてお話しください。

ND.:

振り返ってみると、私たちはこのソナタ集の録音のために、かなり入念な下準備をし

ました。

2

つの楽器の“声”は、驚くほど緊密に絡み合います。したがって楽曲への理解を

深めるためには、どんなに些細な部分にも最大限の配慮を払わなければなりません。私

たちは事前に、装飾音などに関する音楽的な取り決めを十分に行いました。しかしレコ

ーディング・セッションの際には、概して長めのテイクを優先しました。

JP.:

私たちは数か月にわたり、ソナタの各楽章にもっともふさわしいテンポについて、そ

して細部に関して、意見を一致させていきました。その後、録音が完璧なものとなるよう各

自で準備に励みました。それによって私たちは、演奏の率直さや新鮮さを保ち、聴衆の

いない録音スタジオで霊感に乏しい演奏をするリスクを免れることができたと自負してい

ます。

“ある香気の中に束の間に嗅ぎとる一片の過去や、在りし日の青春時代

の思い出といった、はかなく、甘美で、不可逆的なすべてのものと同じよ

うに、音楽もまた、人間を非論理的で感情的な存在にする。”

ウラジーミル・ジャンケレヴィッチ