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ニコラ・ドートリクール&ユホ・ポホヨネン

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6つのソナタを、一つのまとまった連作として捉えていらっしゃるのでしょうか?

ND.:

難しい質問ですね。初めの

3

つのソナタが

1717

年から

1723

年にかけてケーテンで書

かれ、その後にライプツィヒで手直しされた可能性はかなり高いのですが……。そしてこの

3

作は、ロ短調(シャープ

2

つ)からホ長調(シャープ

4

つ)に向かって“シャープが増えてい

く”和声的な進展を示してもいます。実際、これに伴って感情表現も次第に強まっていきま

す。ソナタ第1番は、曲集全体から見れば簡素です。そして第

2

番と第

3

番は、徐々に協奏

的でヴィルトゥオジックになっていき、そのヴァイオリン・パートには、時おり気取ったような表

現さえみとめられます。

4

番と第

5

番は、調性的にはフラットの世界に属しています。曲集全体は第

6

番の輝かし

いト長調で幕を閉じますが、それは同時期に書かれた《ブランデンブルク協奏曲集》を想い

起こさせます。第

6

番のソナタは、もともと

6

楽章構成でしたが、バッハは最終的に

5

つの楽

章だけを残しました。