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ヨハネス・ブラームス
どなたのもとでブラームスのソナタの演奏指導を受けたのでしょうか?
最初はシカゴで習っていたチェロの先生です。第1番を先にみていただきました。その
後に家族でフロリダに引っ越したのですが、当時、フロリダではヴェテランのチェロ教師
がみつかりませんでした。そのため15歳から
17
歳までは独学です。
あなたのレパートリーには当時からブラームスの作品が含まれていたのですか?
彼がチェロのために書いたすべての作品が含まれていました。独りで学んでいたお陰
で、数多くの作品に関心を寄せ、そこから自由に選曲することができたからです。ブル
ーミントンに移ってからは5年間、ヤーノシュ・シュタルケルに師事しました。もちろん、ブ
ラームスの
2
作のソナタもご指導いただきました。しかし、レッスンに加えて、生涯にわた
って繰り返し作品と向き合うことも重要ですし、室内楽のパートナーたちから学ぶこともあ
ります。私はブラームスの
2
つのソナタを、とりわけ大切な共演者だったピアニストとともに
何度も演奏しました。
2000
年
10
月に他界したデヴィッド・ゴラブです。彼からは多くのこ
とを学びました。最終的には、あるアイデアや衝動がもともと自分自身に由来するものな
のか、はたまた共演者に由来するものなのか、わからなくなります。音楽は演奏を通じて
おのずと形作られます。すべては時とともに少しずつ培われてきた経験の総体によって
決定づけられますから、起源はあいまいになってしまうのです。重要なのは、演奏にお
いてそうしたすべての要素が、ひとつの確信を生むという点です。