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フィリップ・ビアンコーニ
終曲<フィリスティンたちと闘う「ダヴィッド同盟」の行進>は、《パピヨ
ン》と《ダヴィッド同盟舞曲集》をつなぐ存在です。後者は、今回のディス
クの最後を飾る曲集ですね…
<「ダヴィッド同盟」の行進>では、《謝肉祭》の<前口上>と、《パピヨ
ン》の「祖父の踊り」のテーマが引用されています(「
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世紀のテーマ」と
明記されながら
!
)シューマンはこの曲集で初めて、“ダヴィッド同盟”を
登場させました。これは、保守的で偏狭な精神をもつフィリスティンた
ち――つまり、硬直化した旧来の芸術を支持するブルジョワたち――に
対抗する、架空の結社です。《謝肉祭》の登場人物たちが、実は皆、ダ
ヴィッド同盟員であり、彼らがこの力強い行進に加わるべく集まっている
のだと想像することもできます。彼らは、「祖父の踊り」が象徴するフィリス
ティンたちに打ち勝つのです。