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ロベルト・シューマン
その筆頭が、双子の兄弟ヴァルトとヴルトが象徴する、異なる性格の対比ですね…これ
は、その後にオイゼビウスとフロレスタンが体現することになる二面性を先取りしている
のでしょうか?
二面性こそ、謎を解く鍵のひとつです。ヴァルトは繊細で夢みがちで、どちらかというと内向
的な青年であり、ヴルトはいたずら好きで熱しやすく情熱的です。私は、《パピヨン》作曲時
のシューマンの頭の中に、オイゼビウスとフロレスタンが存在していたとは思いません。しか
し、二つの性格の対比がすでに――《謝肉祭》において、重要な“仮面”のアイデアが展開
されているように――、極めて強くシューマンに訴えかけていたことは確かです。
この二面性こそ、《パピヨン》と《謝肉祭》を結ぶ第一の要素です。しかし、テーマという観点
からみて、両者をつないでいるものは他にもあります。《パピヨン》の終曲では、
2
つのモチ
ーフが並置されています。「祖父の踊り」のテーマと、冒頭の第
1
曲のテーマです。後者の
旋律は、終曲で再び顔を表すとき、解体され、映画のような効果で次第に消えていきます。
このヴルトのフルートのテーマは、《謝肉祭》の<フロレスタン>で引用されており、《謝肉
祭》の終わりでも「祖父の踊り」のテーマが用いられています。