

43
ロジェ・ムラロ
ロジェ・ムラロ
1959
年、ヴェネチア出身の両親のもと、フランスのリヨンに生まれる。リヨンでサクソフォンを
学び始めた後、独学でピアノ演奏の基礎を習得。
19
歳でパリ国立高等音楽院に入学し、
イヴォンヌ・ロリオに師事。その夫オリヴィエ・メシアンとも出会う。程なくメシアン演奏の第一
人者のひとりとして頭角を現したムラロは、
2001
年にメシアンのピアノ独奏曲全曲録音を行
い、各方面より絶賛を浴びた。暗譜による《幼な子イエスにそそぐ
20
の眼差し》や《鳥のカタ
ログ》全曲の演奏は、達成困難な偉業として迎えられると共に、自作自演のごとく楽曲の本
質に迫るアプローチとして称えられている。
長年エリアーヌ・リシュパンに師事し、モスクワのチャイコフスキー国際コンクールやパルマ
のリスト国際コンクールで入賞した経歴をもつムラロは、絢爛たるテクニックを誇る。その演
奏はまた、常に詩情と誠実さを湛えている。夢幻さと明晰さ、想像性と厳格さを併せもつそ
の芸術は、ムソルグスキーやラヴェル、アルベニス、ラフマニノフ、ドビュッシー、ベートーヴ
ェン、ショパン、リスト、シューマンなど幅広いレパートリーの演奏に生かされており、ムラロ
はそうした音楽から、情感や色彩、敏感な起伏をみせるロマンティシズム、響きの趣などを
巧みに引き出してみせる。
世界屈指のコンサート・ホールからリサイタル奏者として招かれているムラロは、これまで一
流の指揮者ならびにオーケストラと共演を重ねている。
博識かつ、国境を越えてあらゆる音楽の世界に関心を寄せるムラロは、現在、自身のピア
ニストとしての経験と教育者としての知見を、パリ国立高等音楽院の学生たちに分かちあた
えている。
www.rogermuraro.com