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GEOFFROY COUTTEAU
変奏曲は、ブラームスの書法に特徴的な形式です。それは捉えが
たいものの周囲で変化していきます――まるで彼が“全てが私の
もとから逃げていく。それでも私はあらゆる手段で表現を追求す
るのだ”と主張しているかのように。
そして、ノスタルジー。おそらくそれは、ブラームスの書法に特徴
的なもう一つの形式である、あの偏在する子守唄と結びついてい
ます。
さらに、ポリリズムとポリフォニーは演奏者に、内面の動きと感情
の吐露の間の完全な均衡を要求します。
ブラームスの全作品に向き合う中で、時間について自問すること
が極めて重要な鍵であること、そして時間こそが全てを生成する
要素であることを実感しました。そして時間は、奏者がしなやかな
音を生むことをも可能にしてくれます。音は決しておぼろげであ
ってはならず、ヨアヒムが述べた様に、“ダイアモンドのごとく純然
で、雪のごとく柔らか”であるべきなのですから。」