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98 BRAHMS_INTÉGRALE DE L’ŒUVRE POUR PIANO

「作品が別の作品の鍵を解く手がかりを与えてくれます。ある作

品が投げかける問いの答えを、他の作品の中に見出す――そうし

て歩みは進んでいきます。

“ヘンデル変奏曲”にひそむ大きな弧を、曲の持続の中でいかに

描いていくべきか?高度なテクニックを要求される“パガニーニ変

奏曲”――バッハからの多大な影響と対位法の支配が顕著な作

品――において、いかに表現力を維持していくべきか?

これらの問いは、ソナタの構造や音楽の流れを構築していくため

に不可欠なツールを授けてくれるのです。

変奏曲は、律動と音に意識を向けさせてくれます。ブラームスの

作曲書法の中核を成すこの二つの要素は、変奏曲の中に存在す

るだけでなく、ソナタの中にも見出されます。