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パスカル・アモワイエル

貴方の“ショパン観”は、10年前に『夜想曲集』をリリースして以来、変化しましたか?

進化したと思いますが、根本では大きな変化は起きていません。夜想曲において、ショパ

ンはある種の普遍性を扱っていますが、ポロネーズにおいては、超越を追求する特異性が

重視されています。ポロネーズは確かに、簡潔な形式と、執拗に反復される動機が重きを

なすジャンルですが、結局ショパンは、それらの要素を超越しています。作品

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がその好

例です。まだ他者の影響下にあった若い頃のポロネーズに比べ、その後のポロネーズは

いっそう野心に富んでいます。形式、枠組み、目的はもはや存在しなくなり、詩的な方法が

音楽言語の力強さの中に紛れ込んでいくのです。 それは演奏に制限を加えるものであり

ながら、ある意味では演奏を解放します。演奏において私は、全てが簡素さへと向かうこと

を望んでいます。コンサートでは霊感を得る瞬間があり、何らかの自明な枠組みの中で演

奏することができます。そうした瞬間は、ディスクを制作する際にはよりいっそう繊細さを求

めてくるために、何か特別な環境が必要になります。私がシャンボール城で夜間に『夜想

曲集』を録音した時のように。ディスクとは、複雑な錬金術ですから…