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フレデリック・ショパン / ポロニア

貴方はジョルジュ・シフラとラザール・ベルマンに師事なさいました。彼らはリスト弾きで

ありながら、ショパンの作品も演奏しましたね。2人からショパンについて何を学んだの

でしょうか?

シフラとのレッスンは、何よりもまず、豊かな感情に満たされていました。彼は指導中にあま

り多くを語りません。私たちは彼の演奏を聴き、彼を真似るのです。それはとりわけ子どもに

とって、非常に良い経験となります。全てを吸収した上で、不要な部分を少しずつ削いでい

けばよいのですから。彼は常に自由を尊重し、生徒を束縛しませんでした。シフラ自身が

そうであったように、私たちはショパンの音楽が身体を通り抜けるような感覚を抱くのです。

こうした指導方法は、音楽院で当時私が受けた指導とは全くかけ離れていました。シフラ

のレッスンは私にとって、本質的なものでした。全てが常に許されたのです。私たちはある

日、何らかの流儀でレッスンをし、翌日には全く違う方法を取っていることもありました。しか

し、その時の直感を信じることで、作品がその複雑さや豊かさの秘密を打ち明けてくれまし

た。彼の前では、音楽は常に変化しました。

ベルマンの指導法は、これとは全く異なるものでした。実習中でしたので、あまり多くを学ぶ

ことは出来ませんでしたが、彼が音色、深み、サウンドの推進力について語ってくれたこと

は印象に残っています。ベルマンは、常にメゾフォルテで演奏するピアニストたちを嫌って

いました。彼が求めたのはコントラストと活力でした。それは私に、あまりに慎重に演奏され

るショパンの音楽のイメージを乗り越えるきっかけを与えてくれました。ベルマンのポロネー

ズの録音は、まさにオーケストラのような特性を備えていると思います。