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47

パスカル・アモワイエル

《ポロネーズ 作品

44

》は“足し算”といえるだろうか

?1841

年、ショパンはこの作品で、ポロネ

ーズとマズルカの融合という、ありそうでなかったアイデアを実現させた。

2

つのジャンルのリ

ズムや表現の統合は、結果としてひとつの意志表明となった――この抒情詩においては、

全ての鍵盤が蜂起し、その激しく夥しい表現の中から、暴力性が浮かび上がるのだ。

そのようなエネルギーと同じほどに私たちを唖然とさせるのは、ショパンの才能がその真髄

を示しているイ長調の中間部(マズルカ)である――和声が夢のように漂い、自信に溢れた

再現部はこれを完全に消し去ることができない。

作品

44

の翌年に書かれた《ポロネーズ 作品

53

》は快作である。駆り立てられているような音

楽の流れ、

2

つのアウフタクトの交代が特徴的な冒頭数ページの大胆な和声、荒々しいス

タッカート、ラッパのテーマによって支配されながら執拗に和音を放つ凄まじい左手。それ

らが、まるでドラクロワの絵画のように、軍隊による殺戮の情景を描き出す。