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フレデリック・ショパン / ポロニア
しかし、
J.S.
バッハの《平均律クラヴィーア曲集》を崇めていたショパンにとって、自身の芸術
の成熟をめぐる主な関心事は、ポリフォニーだった。それはシューマンが究めたアカデミッ
クなポリフォニーとは異なるし、いわんやリストは、音色の洗練や和声の解体に注意を奪わ
れていた――
2
人の作曲家たちは、常にショパンの書法に関心を示していたとはいえ。ショ
パンのポリフォニー、それは極めて複雑な音色と声部が巧みに織りなすステンドグラスに喩
えられる。
ポロネーズの象徴ともいえる《ポロネーズ 作品
40-1
》は、シンプルな意志表明のように見え
る。実に真っ直ぐで、率直で、一律なこの作品に、出版者は「軍隊」との通称を付けたが、こ
れは誤りである。なぜならショパンは、
1838
年から
1839
年にかけて一対を成す
2
曲のポロネ
ーズを書いた。ハ短調の《ポロネーズ 作品
40-2
》の、時に病的な――あまりに快速なテン
ポを取らなければ――ほの暗い反芻は、否定と言う形で作品
40-1
に応えているのだ。その
閉じられた、型にはまった表現はまた、作品
40-1
の華麗で肯定的な表現と同じほどに強迫
的である。そこには敗北があり、ショパンの精神の暗い部分が、不吉な舞踊に身を委ねて
いる。和声は何度も私たちを狼狽させ、道は遠ざかっていく。そして最後の断固たる
2
つの
和音は、真に解決されない。曲は終結されねばならないのに…。