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フランツ・リスト
リストの音楽に初めて触れたのはいつ、どの作品を介してでしょうか?
最初にピアノのレッスンを受けたのが
13
歳、初めてリスト作品を弾いたのが
14
歳の時
です…。かなり難易度の高い《超絶技巧練習曲》第
2
番でした。軽やかで、短くも鋭い一連
のフレーズから成るこの作品は、一年後に学んだ《波の上を渡るパオラの聖フランチェス
コ》に比べてはるかにモダンです。《聖フランチェスコ》の語りの妙、いかにもリストらしい“イ
メージの喚起”に、すぐさま心奪われました。
今回収録した6曲を通して、貴方はピアノ曲作家としてのリストにあらゆる角度から迫っ
ています。パラフレーズ――仮に《バッハの名による幻想曲とフーガ》をパラフレーズ、あ
るいは“リクリエーション”と形容出来るのであれば――、編曲、民俗的な趣の霊感、オリ
ジナル作品の創造…という様に。プログラム全体をどのように練ったのでしょうか?
プログラミングの核は言うまでもなく《ソナタ ロ短調》です。他の収録曲は、ソナタとして特異
な存在であるこの作品の延長です。それらはリストの音楽言語、言い換えれば《ソナタ ロ短
調》を構成する一連の要素を体現しているのです。
例えば、“狂詩曲”の作者、即興者、ハンガリー人としてのリスト。《ソナタ ロ短調》もまた、順
に現れるギリシャ旋法とハンガリー旋法の音階によって開始を告げます。