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なぜファリャなのか?

ウィレム・ラチュウミアとの対話

概して、ファリャの作品が取り上げられる機会は減りつつあります。貴方はなぜ

ファリャを演奏するのでしょうか?

私はしばしば、独自のプログラムを提案しています。これまでにヴィラ=ロボスや

ワーグナーをテーマに録音を行ったこともあります。常に新たな発見を求めてい

るのです。長年、ファリャの音楽になじんではいました。《ベティカ地方の幻想曲》

を弾いてみたいといつも夢見ていたのです。リヨン国立高等音楽院に在籍中に、

すでにこの曲を何度か聴いたことがあり、魅了されていました。残念なことに当時

は、自ら演奏する機会には恵まれませんでした。その後もファリャの様々な作品

と出会いましたが、フラメンコ歌手ヒネサ・オルテガがカンデーラ役を歌った原曲

版の《恋は魔術師》の録音との出会いは決定的でした。オルテガが表現する音

色や言葉に感銘を受けたのです。さらに当時、カンテ・ホンドを熱心に聴くように

なりました。古典音楽と融合されたヒターノの歌声は私の心に強く訴えかけ、ファ

リャの音楽に再び目を向けるきっかけを与えてくれました。そうして私は、新たな

角度からファリャと向き合うようになったのです。当時

30

歳代だった私は、友人を

訪ねて頻繁にマドリードに滞在しており、サルスエラの虜にもなりました――私た

ちを異世界にいざなう、実に素晴らしい芸能だと思います。