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ダナ・チョカルリエ
その好例が、《子どもの情景》の終盤です。深い愛情に包まれた第
12
曲<眠りにつ
く子ども>は、靄のかかったような和声によって私たちを夢のような空間へといざな
います。やがて子どもが眠りに落ちると、詩人(第13曲<詩人は語る>)がこの曲集
の幕を閉じることになります。彼は小声で引き続き夢をつむぎ、まるで揺りかごのよう
に、聴き手の心に平穏をもたらします。詩人はやがて忍び足で舞台を去ります。ヘ
ルダーリンが見事に描写した「幼年時代の幸福な静けさ」の中で、私たちにおぼろ
げな夢想を残しながら。