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昔からのレパートリーに入っている曲とともに、つい最近になってから加わった曲もあり

ますね。たとえばシベリウスの『悲しいワルツ』など…

A.C. :

この曲は、今回の録音のために特別に練習したと白状しなければなりません。もち

ろんとても有名ですが、非常に個人的な曲だと思っています。あの特別な魅力が好きで

す。

アンコール曲リストに加えてもいいのではないでしょうか。 随分前からあなたのアンコ

ール曲リストには、シューベルト/シュトラウスの『クーペルウィーザー・ワルツ』があり

ますが、この曲にはおもしろいエピソードがありますね。

A.C. :

そうです。随分昔のことになりますが、あるとき、オーストリアの夫婦の知己を得まし

た。旦那さんはシェンカーさんといって、音楽学者のハインリヒ・シェンカーの末裔でした。

奥さんはクーペルウィーザー家の出身で、家系には、シューベルトの親しい友人で画家の

レオポルト・クーペルウィーザーがおりました。彼女は、シューベルトがこの画家に贈ったあ

る手稿を受け継いだのですが、そこには、数小節の楽譜も書かれていました。シェンカー

夫妻はお金持ちで、アドリア海に島を所有しており、そこには多くの芸術家が訪れました。

リヒャルト・シュトラウスがここに滞在したとき、シューベルトの自筆のメロディがあるのを見

て、これに和声をつけたのです。これが『クーペルウィーザー・ワルツ』です。

ワルツ選集