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それに、チッコリーニというとこの作曲家という、サティもいますね。時にはあなたとサテ
ィを必要以上に結びつけたがることもありますが。すでに録音され、再録音もある『ジュ・
テゥ・ヴ』を再び取り上げられ、どのように感じられましたか。
A.C. :
この曲がもっている魅惑的な力、キャバレー的なものを存分に味わいました。サティ
は、自由で自然なメロディ感を持っていました。今回、彼のピアノ曲を弾き始めた頃のことを
感動をこめて思い出しました。サティという人物にも感じ入っています。信じられないほどオ
リジナリティのあるものをいろいろ書きましたが、人物としては目立った人ではありませんで
した。
この曲集を、ジェルメーヌ・タイユフェールという、忘れられたフランスの女性作曲家の『
遅いワルツ』で締めくくられています。
A.C. :
なんと洗練された曲でしょうか。フランスのエレガンス、フランスの香水、シャンパン
などが全部つまっています。曖昧さをもった見事な和音がある曲です。彼女はあまりにも知
られなさすぎる音楽家ですが、これをきっかけにその作品を研究してみたいと思いました。
アルド・チッコリーニ