

フィリップ・カサール
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難聴を患った75歳のフォーレによって作曲された《幻想曲》は、湧出するエネ
ルギー、輝き、ピアノがつむぐ清らかなアラベスクによって、私の心を魅了する。
今回のレコーディングに際して、指揮者ジャック・メルシエには、オペラ《ペネロ
ープ》の序曲の演奏もお願いした。類まれな息吹を感じさせる、印象深く壮大
な曲である。この序曲には、フォーレを過小評価し続けている者たちの批判を
一掃してしまう力がある。気高いフレージングと物狂おしい抒情性を湛え、詩
情を愛した作曲家フォーレは、規範にとらわれずに我が道を進んだ。今日、世
界中の演奏者たちがその道を熱心に辿っている。
フィリップ・カサール
このアルバムを、生来の“フォーレ弾き”であった私の2人の恩師、
ジャック・ブロシュとドミニク・メルレに捧げる。