

ターリヒ弦楽四重奏団
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多作な作曲家
彼の作品は非常に多様で、作品目録には、あらゆる作曲形態による
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曲が記載さ
れている。その中には弦楽四重奏曲
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曲、交響曲7曲、多数の序曲、さらに協奏的作
品、室内楽曲、宗教曲などがある。ピアノのための小品や歌曲も多く、
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世紀のサ
ロン音楽の様式が見事に反映されている。
当時、弦楽四重奏曲は多くの聴衆の前で演奏されるためのものではなく、小さなサ
ークルのためのサロン音楽にとどまっていた。この形式の扱い方としてふたつの方
法がある。一つは俗にいう「古典的」な弦楽四重奏で、もうひとつは、第1ヴァイ
オリンを全面に押し出した「ブリリアント」な弦楽四重奏である。
1831
年、ライプツィヒのペータース出版社から「第1ヴァイオリンを協奏曲的に扱
うのではなく、各楽器の声部を調和よく配分した、モーツァルト様式の優美な」
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曲の弦楽四重奏曲の注文があった。
結局作曲が終わったのは3年後であった。