

ゲーリー・ホフマン
ダヴィッド・セリグ
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アラン・コシャール どのようないきさつで、お二人は一緒に演奏す
るようになったのでしょうか。
ダヴィッド・セリグ
1986
年春、ピアニストのクリスティアン・イヴァルディ氏か
ら電話をもらい、ロストロポーヴィッチ・コンクールを受けるある有能な若いチェリスト
が、伴奏ピアニストをさがしていると言われました。チェリストの名前は知らされ
ませんでしたが、私はその申し出を受け入れました。その後、ゲーリー本人がアメリ
カから電話をくれ、そしてコンクール出場のために彼はパリにやって来ました。最初
に彼と弾いた時の印象は、いまだに強く残っています。まずブラームスの第一ソナ
タを合わせましたが、すべてがとても柔軟に、自然に進みました。コンクールは、皆
が知っているようにゲーリーにとってよい結果となりました(
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)。その後すぐに、パリ
や別の場所で一緒に演奏する機会を得ました。
ゲーリー・ホフマン
私たち音楽家は誰とでも演奏できるものですが、ダヴィッ
ドとは、最初の音を出したときから違うというのを感じました。その時からとても親し
い友人としてつきあっています。リハーサルでは、あらかじめここをこう弾こうというこ
とを決めるのではなく、音楽から出発して、自然に、直感的な形でお互いの演奏の
仕方が決まるのです。ダヴィッドと弾いている時には、あれこれと考えたりしません。
単に音楽を演奏するだけなのです。これ以上のことが望めるでしょうか
?