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スメタナ / フィビヒ
『弦楽四重奏曲第
2
番ニ短調』
では様子はがらっと変わる。
この曲は
1882
年夏に書き始められ、完成したのは
1883
年
3
月
12
日だった。彼の最
後のオペラ『悪魔の壁』に続く作品で、スメタナの音楽的な遺書と考えること
ができる。作曲期間が長いのは、彼の病気による。この新しい音楽的告白は、
『弦楽四重奏曲第
1
番』の延長上にあるといえる。
「耳が聞こえなくなった人間にとって、考えをとどめておくこ
とがどれだけ難しいかは、誰にも想像できない。すぐに考えを
書き留めておかないと、すぐに忘れてしまうのだ。昔の私には
抜群の記憶力があったというのにだ。」
編集者ヴァーツラフ・ヴラディミール・ゼレニーに宛てた手紙。