34 PASSAGE:内なる旅~スピリチュアル•オデッセイ アルバムのタイトル『Passage』は、何らかの「通過/移行」を想起させます。あなたにとっ て本デビュー盤は、いわば人生の転換点をなす通過儀礼(rite de passage)のような ものでしょうか? 私が本盤を通して語ろうとしたのは、ある人物が、幾多の試練や苦難を経て、時には極 限まで突き詰めるような深い自問を重ね、やがて深遠な理解へと至る「旅」の物語です。 内なる葛藤や闘争のみならず、よりスピリチュアルな何かにも言及しうる物語と言えま す。Passageは、様々な次元での解釈が可能な言葉であり、まさにその多義性が、このプ ログラム全体に一貫性をもたらしています。元来、私は複数の意味へと開かれている言葉 に惹かれます。Passageの意味は3つの次元に大別されます。第一に、「通過儀礼(rite de passage/rite of passage)」としての意味です。ご指摘の通り、本盤は私のデビュー・アル バムです。第二に、Passageは「移行」や「内面的な超越」を意味します。それゆえに、本盤に 「内なる旅~スピリチュアル・オデッセイ」との副題を添えました。つまり、ある境界を越え ることや、旅立つことを意味しています。第三に、Passageは、音楽用語としてのパッセージ を指してもいます。すなわち、演奏技巧的な難易度が極めて高い音の連なりのことです。そ れは、奏者に突きつけられる挑戦です。今回のレコーディングにおいても、難なくこなせるも のは何一つありませんでした。
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