

35
ターリヒ弦楽四重奏団
「ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」と表示のある終曲は、洗練と活気
か程よく混ぜ合わされていることでその前の第
3
楽章と強い対比をなしている。同
様の混ぜ合わせはハイドンの作品のいくつかに見られるものである。ヨーゼフ・ヨ
アヒムは、このような音楽的「慎み」が、ロマン主義的であるよりも古典主義的で
あるとして批判している。ヨアヒムには、より身体的な演奏を要する音楽が必要だ
ったようだ。
数年後、別の曲の中で、ブラームスは再び終曲に平穏な雰囲気の音楽を置いた。交響曲
第
3
番のフィナーレである。彼は、自身の膨大な作品群の中では『六重奏曲』は特別な位
置を占めるに値しないと確信するようになった。彼がクララ・シューマンに送った手稿に
は、「私にこの愚かな曲を送り返すという無駄な骨を折らないように、燃やしてください」
というコメントがついていた。クララがそのコメントをすぐに忘れてしまったのは言うま
でもない。