34 ピアソラ | ブエノスアイレスの四季 | バンドネオン協奏曲 | オブリビオン ピアソラの様式の特異な点は何であるとお考えですか? ピアソラは、カルロス・ガルデルや「タンゴ・クラシコ(古典タンゴ)」から出発し、やがて「ヌエ ボ・タンゴ(新しいタンゴ)」を創出しました。それは、古典的な基盤から離れて、より粗野で 無骨な表現へ向かったタンゴであり、踊られることを目的とした従来のタンゴよりも、暗い情 緒を漂わせています。私はこの点について、アンサンブルのメンバーたちに幾度となく語り、 ピアソラの音楽を常に「美しく」演奏するべきではない理由を説明しました。彼らにとって、 それは興味深く新しいアプローチでした。普段、彼らは可能な限り綺麗に演奏するよう指導 されていますが、ピアソラの音楽では、あえて粗野に音を響かせなければならない箇所があ るからです。彼の音楽が紡ぐ物語は、非常に独特です。それはブエノスアイレスの街路や貧 困、ぶっきらぼうで一徹な作曲者自身の怒りについて語っています。それにもかかわらず、彼 の音楽には、なおも「古典的」なパッセージが見出されます。 それは、彼がナディア・ブーランジェの弟子として受けた薫陶の証です。彼は、ブーランジェが 他界した年に、彼女の死から程なくして《バンドネオン協奏曲》を作曲しました。これを、師に 捧げられたオマージュと捉えるべきでしょうか? 私には、そう断言することはできません。 確かなことは、彼がブーランジェからの教えと、自らの音楽的なルーツを見事に融合させ、他 ならぬ「ピアソラ・サウンド」を生み出したという事実です。
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