32 ピアソラ | ブエノスアイレスの四季 | バンドネオン協奏曲 | オブリビオン それまでに、この協奏曲がチェロの独奏で演奏された例はあったのですか? 分かりません。ただし、原曲の編成(弦楽、ハープ、ピアノ、ティンパニなど)を鑑みれば、チェロ での独奏は可能でしょう。私の知る限り、これまで弦楽アンサンブル用の編曲は行われてい ません。 今回チェロは、原曲のバンドネオンの独奏パートをそのままなぞっているのですか? 厳密には違います。バンドネオンはポリフォニック(多声的)な楽器ですが、チェロはそうでは ないからです。たとえば、第2楽章の冒頭の長大なカデンツァではバンドネオンに特有な和 音が並んでおり、チェロで楽譜通りに演奏することは不可能です。カルメルは、これらの和音 の構成音をアンサンブル全体に巧みに振り分けています。原曲ではバンドネオンがモノロー グ(独白)を展開するこのカデンツァを、独奏チェロに他の楽器奏者たちが絡むよう再構成 したのです。実に見事な編曲です!
RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx