29 グザヴィエ・フィリップス | ローザンヌ・ソロイスツ あなたのディスコグラフィに新たに加わった本盤は、極めてユニークなプロジェクトに端 を発しています。その経緯をお話しいただけますか? グザヴィエ・フィリップス: 3年前、ルノー・カプソン氏の後任として「ローザンヌ・ソロイスツ」 の監督への就任を打診されました。この任に膨大な時間を捧げることになると十分に承知 の上で、ありがたく快諾しました。ローザンヌ・ソロイスツのメンバーは、プロの演奏家ではな く、私が教鞭を執るローザンヌ高等音楽院(HEMU)に在籍する学生たちです。まず私は、こ のアンサンブルと共にどのような活動を展開していくべきか自問しました。私が求めたのは、 クラシック音楽の通常のレパートリーの外へ踏み出せるような独自のプログラムでした。そ の折、ある方から提案された「東西南北」というコンセプトを、私は熱烈に歓迎し採用しまし た。第1弾のテーマを「南」とし、イタリアに光を当てることになったのは、ごく自然な流れでし た。公演ごとにプログラムを調整しながら、ニノ・ロータの《弦楽のための協奏曲》、アントニ オ・ヴィヴァルディやルイージ・ボッケリーニの協奏曲などを演奏しました。「南」のテーマを イタリアの外にも拡げ、南米——[アルゼンチンの]女性作曲家アリシア・テルジアンを紹介 したい想いにもかられ、彼女の弦楽オーケストラのための3作品や、私自身が若い頃から親 しんできたピアソラの楽曲も取り上げることになりました。これは長年、私が夢見ていたこと です! かつて私自身がピアソラの《ブエノスアイレスの四季》を演奏したさいには、現存す る数々の編曲版の中で最も有名なレオニード・デシャトニコフ版を用いました。この版には、 チェンバロ・パートが加えられているほか、ヴィヴァルディの作品の断片も随所で引用されて います。今回は、私の幼馴染の作曲家オリヴィエ・カルメルに依頼し、チェロと弦楽オーケス トラのために《ブエノスアイレスの四季》を新たに編曲してもらいました。
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