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42 トランスクリプション&パラフレーズ セルゲイ・プロコフィエフの《交響曲第1番》(《古典交響曲》)は、十月革命(1917)勃発の直 前に作曲された。その活発さと呑気さは、誰の耳にも明らかだ。曲に染みわたっているのは、す でに幾度かチャイコフスキーを刺激していた新古典主義的な態度であり(《ロココの主題によ る変奏曲》・《スペードの女王》)、それはやがて、ストラヴィンスキーにも霊感を与えることにな る(《プルチネッラ》)。プロコフィエフが、迫り来る論争に密かに有頂天になっていた可能性は、 なきにしもあらずだ: 「古典的な——僕から見れば“偽”古典的な——思想にかぶれた我らが音楽家・教 授たちが、この交響曲を聞いた暁には、プロコフィエフがまたしても仕向けた大胆不 敵さに飛び上がり、抗議のためにこう叫ぶだろう——“見ろ、奴はモーツァルトを安ら かに眠らせておくことができない。そればかりか、不潔な手でモーツァルトを呼び覚ま した。純然たる古典的な真珠を、プロコフィエフ風のおぞましい不協和音で汚してい るのだ”と。だがしかし、僕の真の友人たちは、この交響曲の様式が、まさに古典派の モーツァルトのそれであると見抜くのだ。そして彼らは、この曲の真価をみとめるだろ う。その一方で聴衆たちは、彼らが——当然ながら——拍手を浴びせることになる楽 しげで簡明な音楽を聞き、ただただ満足するはずだ!」

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