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52 アレクサンドル・スクリャービン — ニコライ・リムスキー=コルサコフ リムスキー=コルサコフの爽やかで溌剌とした《ピアノ協奏曲》(1882-1883)は、スクリ ャービンの協奏曲以上に演奏機会の少ない作品です。この曲をレパートリーに含めてい た稀有な大ピアニストとしてすぐに名が思い浮かぶのは、スヴャトスラフ・リヒテルだけで す。形式――複数のセクションから成りますが、全体が切れ目なく演奏されます――や、 特徴的なピアノ書法の幾つかは、フランツ・リストにならっています。印象的な循環主題の 一つは、バラキレフが出版した民謡集から取られたものです。 譜読みのさいに、とりわけあの主題に心を動かされたことをおぼえています。ピアノ・テクニ ックの面ではさほど難易度の高くない、魅力あふれる協奏曲です。ビルケント交響楽団の 音楽家たちとともにこの作品にアプローチできたことは、素晴らしい体験でした。 本盤の意義は、幾つかの点に要約されるのではないでしょうか――あまりに長いあいだ 過小評価されてきたスクリャービンの協奏曲を本来の地位へと押し上げ、多くの聞き手 にリムスキー=コルサコフの協奏曲を紹介するとともに、あなた自身にも、スクリャービン の作品をさらに開拓していく道をひらいたのではないですか? 私自身に関しては、あなたの仰るとおり、今後もスクリャービン作品のレパートリーを広げ ていけたらと思っています。
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