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36 民族音楽学者の先駆けであったリャプノフは、《練習曲》や他の自作でロシアの民族音楽 の旋律を引用しています。その最たる例が〈叙事詩〉と〈レズギンカ〉でしょう。後者はバラ キレフの有名な《イスラメイ》を彷彿させます。これまでリャプノフのピアノ曲を収めたアル バムを2枚録音した貴方は、彼の音楽の何に最も心惹かれているのでしょうか?ラフマニ ノフの《音の絵》にも見出されるような、根深くロシア的な特性――幻想的で、しばしば勇 壮で、多様で多彩な音世界――でしょうか?あるいは、リャプノフの音楽だけがもつ何か 別の特性でしょうか? 私自身、常日頃から、民族的な性格をもつものに惹かれます。幼い頃は、いつも祖母と一緒 にロシア民謡を聞いていました。ロシア民謡の旋律はどれも特異な色彩を帯びています が、その形式は簡明で素朴です。どの地域の民謡も、鮮明に記憶に残るため、ずっと昔から 知っていたような印象を抱きます。 私の民族音楽への関心は、ラ・ドルチェ・ヴォルタ・レーベルへのデビュー盤にも反映され ています。このディスク(『ある旅人のアルバム』)のコンセプトは、さまざまな土地の民族音 楽にちなむ楽曲を介して、ヨーロッパを旅するというものです。 リャプノフ ︱ 12の超絶技巧練習曲 作品11
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