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30 リャプノフ ︱ 12の超絶技巧練習曲 作品11 リャプノフはリストを敬愛していました。彼は、尊敬する先達リストにならって自身の曲集 を“超絶技巧練習曲”と名づけ、心の師リストに捧げています。構成曲の幾つかは、リスト の練習曲によく似ており、模作と思えるものさえあります。たとえば、〈鐘〉はリストの〈夕 べの調べ〉、〈エオリアン・ハープ〉は〈雪あらし〉、〈妖精たちの輪舞〉は〈鬼火〉、〈夏の夜〉は 〈回想〉を連想させます。さらに終曲の〈エレジー:フランツ・リストを偲んで〉は、明らかに ハンガリーの音楽様式にもとづいています!リャプノフの《練習曲》は、どのような点で“超 絶”しているとお考えですか?リストの《練習曲》と同じく、詩的に、言わば崇高に、技術的 素材を超越している点でしょうか? 確かに、リャプノフの《練習曲》はオマージュの次元を超えています。まるでリストの《練習曲》 の続編のようです。周知のとおり、当初リストは全ての長・短調による全24曲の練習曲集を 構想していました。しかし最終的に、全12曲に落ち着きました。リャプノフは、リストからバト ンを受け取り、彼が用いなかった調性で練習曲を書くことで、“未完の建造物”を完成させよ うとしたのです。
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