LDV81

トリオ・メトラル 39 ヴァインベルクの三重奏曲を演奏する際に直面する困難についてお話しください。 ジュスティーヌ: 幾つかの点で、この曲の録音は至難でした。何よりも、肉体的に……。演奏 者は、時に延々と強音(fff)で奏で続けなければなりませんし、運動選手のように身体のコ ンディションが万全でなければ、この曲に太刀打ちできません。幸いにも、各楽器間のバラ ンスは比較的に程よく、いずれのパートも極めてソリスティックです。どの楽器も、伴奏に徹 することはありません。いっぽう、この曲には感情移入の面での難しさもあります。音楽がは らんでいる苦悩を、ありありと表出させなければならないからです。 ジョゼフ: ヴァイオリン・パートの技巧的な難易度は、かなり高いです。 特に第4楽章―― 具体的にはフォルテシモのパッセージを全てオクターヴで弾く箇所――では、冷や汗をか きます。とにかく、すさまじく高度なテクニックが求められる曲です!その最たる例が終楽章 でしょう。フォルテのパッセージの大部分で、この上ない超絶技巧を、力強く、荒々しく、緊 張感をもって、矢継ぎ早に繰り広げなければなりません。 ジュスティーヌ: 要するに、どれほど力を尽くしても決して“十分”ではない曲なのです。この 音楽に説得力をもたせたいと望む奏者は、自分が表現するものが苦しみであれ、幸福であ れ、皮肉であれ、暴力性であれ、“持てる力”以上の力を発揮する必要があります。少しでも 迷いがあるとすれば、それは演奏に改善の余地があり、さらなる力を注がなければならない ことを意味します。この曲がはらむ種々の感情をできるだけ忠実に表現するためには、一切 の躊躇なしに演奏しなければなりません。

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