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36 ショスタコーヴィチ • ヴァインベルク 第1番については、いかがですか? ヴィクトル: 私たちのレパートリーに第1番が加わったのは、第2番よりもずっと後です。とは いえ作曲年順に取り組むのが、より自然だと思います……。私たちの場合、若書きの第1番 に新鮮な視点からアプローチするために、第2番を演奏した経験を一度忘れなければなり ませんでした。 ジュスティーヌ: ちなみに第1番には、ショスタコーヴィチがある若い女性に寄せていた恋 心が込められています。じっさいそれは音楽的にも、ロマンティックな感情のほとばしりや、 彼の作品としては極めて異例な楽観性に表れています。第1番と第2番の作曲様式は明ら かに異なりますが、それでも、第1番の中に潜む皮肉めいた態度や、曲想の度重なる急変に は、早くも“ショスタコーヴィチらしさ”がうかがえます。若書きの作品であっても(1923年か ら1925年にかけて書き進められました)、そこには大作曲家ショスタコーヴィチがもつあ らゆる“顔”が見出されるのです。 ジョゼフ: 作曲中の彼が、恋ゆえに心を痛めていたこと、“相思相愛”ではなかったことが感 じ取れます。満たされない想い、張り裂けるような胸の内が、音楽から滲み出ているからで す。音程の選択はかなり示唆に富んでいますし、和声的にも不協和な要素が多々見受けら れます。

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