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34 ショスタコーヴィチ • ヴァインベルク 今回ショスタコーヴィチの2つの三重奏曲を選んだ理由をお聞かせください。 ジュスティーヌ: 第2番は、3人が本格的に演奏に取り組んだ最初の三重奏曲のひとつで す。私が13歳、ジョゼフが15歳、ヴィクトルが17歳の時に初めて演奏しました。ショスタコ ーヴィチを選んだのは、父の影響でごく早くから彼の音楽に親しんでいたからです。以来、 私たちは折に触れて何度も第2番を演奏し、理解を深めてきました。やがて第2番は、トリ オ・メトラルのレパートリーの支柱のひとつとなったのです。 この曲に関して多くの方から助言をいただく機会に恵まれ、そのうちの幾人かと近しい間 柄になりました。私たちが“メンター”と仰ぐ彼らの筆頭が、ダネル弦楽四重奏団のメンバー たち、チェロ奏者クリストフ・リヒター、そしてエマニュエル・ユトウィレール氏です。氏はドミ ートリイ・ショスタコーヴィチ・インターナショナル・アソシエーションの代表を務めており、 私たちは氏を介して、ショスタコーヴィチの後妻イリーナ夫人にもお目にかかりました。 第2番の録音に備えて、特にどのような準備をなさったのですか? ジョゼフ: もっとも重視した点のひとつは、時間の捉え方です。ジュスティーヌと私は、極め て重々しいテンポ感に運弓が合うよう徹底的に準備しました。それはあたかも、心の中で苦 闘しながら前進しようとしているような感覚でした。時には弦楽器だけの練習の際に、理想 とする曲想をより明確にするために、私が物語をこしらえることさえありました。私が思い 描いたのは、雪に覆われた牢獄の中庭で、死刑執行人の到着を待つ人物の姿です。この架 空の物語の助けを借りながら、私たちは、第2番の冒頭数小節にふさわしい特異なテンポ 感に身を浸すことができました。

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