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ジョゼフ: 3人とも、このトリオの存続を疑問視したことは一度もありません。3人で演奏す るのは、私たちにとって常に“自明の理”だからです。私たちの心を結んでいる絆は、いつもコ ンサートの際に助けとなります。なぜなら事前の取り決めがなくとも、じつに自然に、互いの 自発的な表現に応じることができるからです。しかも兄・弟・妹という関係ゆえに、相手から どう思われるかと考えて怖じけることなく、何のためらいもなく演奏することができます。3 人のあいだでは、取り繕ろうことも、自分の音楽性に反するような行動を取ることもありま せん。むしろ私たちの意思疎通は、時に過剰なまでに“率直”です。 ヴィクトル: 私たちは絶えず意見を交換し合っており、それが室内楽における対話をも充 実させています。なぜなら室内楽奏者には、他者の考えを尊重する謙虚さが求められるか らです。ちなみに私たちは、あまりに頻繁に自分たちのアイデアを分かち合っているため、相 手が言葉で表現できないでいる時にも、たいていは言わんとすることが理解できます。ただ しトリオ・メトラルはルーティーンとは無縁です。3人のあいだには、常に競争意識もありま す!各自が他のプロジェクトにも参加し、他の演奏パートナーとも共演していますが、それ でも私は、これほど手放しでリスクを冒せる場はトリオ・メトラル以外にはないと、深く感じ ています。 相手からの評価に臆することなく極限まで冒険できるのは、特大のチャンス です。兄·弟·妹としての繋がりが、多くの問題を遠ざけ、その深刻さを和らげ ます。共通の物語をこれほど濃密に分かち合える共演者は、きわめて稀で す――自分たちの過去を作り上げている沢山の要素が、私たちの演奏を豊 かにしているのです。 トリオ・メトラル 33

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