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38 イザイ / 6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ作品27 つまり弾き手は、各ソナタの献呈者の作曲書法ないし演奏スタイルを考慮すべきだという ことでしょうか? それが必須であるとは思いません。各奏者は、自分自身を介して作品を具現しなければな りません。音楽自体は、書法の面でも記譜の面でも、きわめて明確です。イザイは、何を自分 が聞きたいのか、はっきりと分かっていたのです。ひとたび私たち弾き手が楽譜の中に入り 込み、音素材の中に身を浸し、音楽がしかるべき構造を得れば、おのずとイメージが喚起さ れます。私たちは、今日のヴァイオリン奏者たちの母語とも言えるモダン·ヴァイオリンを取り 巻く“るつぼ”の中にいます。私自身はパリ音楽院でレジス·パスキエ先生から教えを受けまし た。先生はイザイのソナタを初めて録音した方で、その素晴らしいアルバムはハルモニア·ム ンディからリリースされています。また私は、ブリュッセル音楽院ではフィリップ·ヒルシュホル ン先生のレッスンを受けました。パスキエ先生の師に当たるアイザック·スターンは、イザイの 弟子ルイス·パーシンガーのもとで学んでいます。彼ら偉大なるヴァイオリニストたちの精神 は、現在もなお息づいているのです。

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