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34 ベートーヴェン / “幽霊”& “大公” 長年にわたり共演を重ねていらっしゃいますが、貴方がたを“常設のトリオ”と みなしてよいのでしょうか? DG : ソリストたちが組むトリオには無く私たちにあるものは“忠誠”、常設のトリオには無く 私たちにあるものは“自由”だと思います。アンヌとフィリップと一緒に演奏しているとき、私 は自分の音楽的個性を抑えているような印象は全く抱きません。むしろ3人が互いに補い 合っているように感じられます。私たち3人は、おのおのかなり異なる活動をしていますし、 各自が極めて強い個性をもっています。それでも3人でともに演奏するさいには、この相違 を、共通の勢いに収斂させることができます。 PC : ここ2年のあいだ、私たちは高い理想を掲げ、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲の演 奏に並々ならぬ熱意を注いできました。この極めて建設的な体験が、私たち独自の——し かしルーティンワークとは無縁の——関係性を育みました。現在の私たちは、演奏中、より多 くの自由を手にしながらも、よりいっそう互いの音を聞き合い、よりいっそうダイレクトに反応 し合えているように感じます。一言でいえば3人は、より密に繋がっています。現在の私は、 アンヌやダヴィドとは別のアプローチを耳にすると戸惑うことさえあります。3人の呼吸やテン ポの捉え方も、時とともに徐々に揃ってきました。今や私たちは、ごく細かい点についての み話し合っています。

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