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フィリップ·カサール / アンヌ·ガスティネル / ダヴィド・グリマル 27 ベートーヴェンの全ピアノ三重奏曲をレパートリーに含めていらっしゃいます が、今回の録音にさいして、この2曲を選んだ理由をお聞かせください。 ダヴィド・グリマル(以下DG): 2曲の組み合わせは、すぐに決まった訳ではありませ ん。私たちは当初、最初と最後のトリオ、つまり作品1-1と“大公”を録音するつもりでいまし た。コントラストに重点を置いたアルバムを作りたいと考えていたからです——2曲の違いを 聞かせ、それによってベートーヴェンの音楽言語の発展を浮き彫りにすることが、私たちの ねらいでした。その後、最初期の作品1-1の代わりに、作品70-1“幽霊”を取り上げるアイデ アに至りました。そうすれば、1枚のアルバムでベートーヴェンのピアノ三重奏曲を最も象徴 する2作品を取り上げることができます。この観念的な側面をもつ2作品のあいだには、紛 れもない同質性と補完性がみとめられます。それに何と言っても、この2曲は、ベートーヴェ ンのピアノ三重奏曲のうち唯一“愛称”をもつ作品です!自分たちが、聴衆を巧みに“引き つけ”なければならない世界に生きていることを忘れてはいけませんし、私たちには“幽霊” と“大公”の組み合わせが、おのずと適切に感じられました。 しかも私たち3人は、かねてからこの2曲を最も頻繁に演奏してきました。

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