LDV75
貴方がドルチェ·ヴォルタからリリースする新録音には、ヴィオラと管弦楽のための3つの 大曲が収められています。プロコフィエフの《ロメオとジュリエット》とグウェナエル·グリ ジの《オン·ザ·リール》も、協奏曲と考えてよいのでしょうか? アドリアン·ラ·マルカ : ウォルトンの協奏曲は、私たちの楽器を象徴する作品の一つであり、 ヴィオラ協奏曲のレパートリーの中核を成す作品でもあります。紛れもない名曲ですが、私 から見れば、演奏会で取り上げられる機会は極めて少なく、知名度も低すぎます。3曲それ ぞれに確固たる選曲理由があり、いずれも本盤にとってかけがえのない作品ですが、この録 音プロジェクトの主軸は、やはりウォルトンの協奏曲だと思います。 今回はプロコフィエフの《ロメオとジュリエット》を“ヴィオラとオーケストラのための組曲”とい う新編曲版で録音したので、この版の正真正銘の“お披露目”となります。これまで私は何度 も、この音楽のヴィオラ&ピアノ版を演奏してきました。力強いオーケストラに支えられなが ら《ロメオ》を奏でるのは、エキサイティングな体験でした。ですから、ご質問にお答えするな ら……協奏曲と言えると思います! 《オン·ザ·リールOn the Reel》(リールは映画フィルムの一巻きを指す)は、ベルギー王立 リエージュ·フィルハーモニー管弦楽団がグリジに委嘱した作品です。私は、この単独楽章 から成るヴィオラと管弦楽のための協奏曲を、昨年に同楽団の“アーティスト·イン·レジデン ス”を務めた折に初演しました。それが今回の“世界初録音”に繋がりました。ウォルトンとプ ロコフィエフの作品に挟まれた《オン·ザ·リール》は、見事に2曲の橋渡しをしていると思いま す。 ですから本盤は、本盤なりに協奏曲の物語を紡いでいるのです!
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