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グザヴィエ・フィリップ / アンヌ·ガスティネル 37 エと私が何かを共有したいという強い想いに突き動かされている点に、疑いの余地はあり ませんでした。さらに私たちは、相手がどのようなアプローチにも自分と同質の誠実さをも って取り組むことを知っていました。つまり、私たちの美学は本質的には似ているものの、 各自がそれを異なる方法で表現しているのです。それゆえに、私たちのデュオとしての相 性は抜群でした。グザヴィエが今回のプロジェクトを発案し、私たち二人は比類のない音 楽世界に身を浸しました。オッフェンバックは、ごく軽快で——そして良い意味で——ごく素 朴な表現と、並外れた深みや美のあいだで、完璧なバランスを保っています。グザヴィエ と私は、それぞれの緩徐楽章を演奏するに当たり、そのバランスについて熟考しました。 私自身、以前からオッフェンバックの二重奏曲を知っていましたが、録音を視野に入れ、 その音楽世界に再び深く身を浸すことによって、曲の魅力を——とりわけ繊細さと詩情 を——再発見することが出来ました。先ほども述べたとおり、それぞれの二重奏曲にそなわ っている深みは、この上なく魅惑的です。普段、私たちはこの種の深みを、もっぱら技巧 的な側面が注目される楽曲と即座に結びつけることはしません。 《二重奏教程》から、どのように6曲を厳選したのでしょうか グザヴィエ・フィリップ : はじめに、難易度の低いA・Bの曲集を選択肢から外しました。 このふたつは、教育を目的に書かれた、学生向けの曲集だからです。ただし私たちは、ひ たすら難易度の高い曲だけに目を向けたわけではありません。たとえば、最も難易度の高 いFの曲集からは、オッフェンバックが書いた最も有名でカリスマ的な第2曲を選びました が、これに比べると霊感に乏しいFの第1曲と第3曲は避けました。他方、Fよりも難易度の 低いEの曲集からは、3つの二重奏曲を選曲しています。私自身この3曲については、今回 の録音にのぞむまで殆ど知りませんでしたが、実際に演奏し、文字通り恋に落ちました。さ らに、CとDの曲集からも1曲ずつ選曲しました。結果、今回のアルバムを通して、オッフェン バックがチェロという楽器のために抱いた発想を、かなり網羅的にご紹介できたと自負して います。つまり私たちは、何よりも音楽的な見地から選曲を進めました。

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