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グザヴィエ・フィリップ / アンヌ·ガスティネル 35 あのオッフェンバック(1819-1880)がチェロ作品を作曲? 《パリの生活》や《地獄のオルフェ(天国と地獄)》を手がけた作曲家オッフェン バックが、傑出したチェリストでもあったことは、往々にして忘れられている。ド イツでヨーゼフ・アレクサンダーとベルンハルト・ブロイアーのもとで学んだ若 き日のオッフェンバックは、その後1833年から翌年にかけて、パリ音楽院のオ リヴィエ=シャルル・ヴァスランのクラスに短期間在籍し、演奏の腕を磨いた。 “チェロ界のフランツ・リスト”の異名をとったオッフェンバックは、パリで過ごし た最初の数年間に“ヴィルトゥオーゾ・チェリスト”として頭角をあらわし、サロ ンの花形となり、同地の複数の劇場のオーケストラでも腕を振るった。なかで も、オペラ=コミック座のオーケストラで得たポストは、未来のオペレッタ作曲 家にとって何ものにも代えがたい“実地学習の場”となったはずだ! 一方でオッフェンバックは、1839年から1855年にかけて、《2本のチェロのた めの二重奏教程》を6つの曲集(op.49~op.54)に分けて出版した。6つの曲 集には、演奏の難易度を示すAからFまでの6つの等級が順に振られており、《 教程》全体で段階的に難易度が上がる構成が取られている。この驚くべき二重 奏曲集は、凄まじいヴィルトゥオジティと奥深い詩情を兼ねそなえた“もうひと りのオッフェンバック”の素顔を、私たちの前に浮かび上がらせる。 《教程》の3つの曲集(C・E・F)から6曲を厳選して初の共同録音にのぞみ、華 麗なる連携を繰り広げたグザヴィエ・フィリップとアンヌ・ガスティネルに、話を 訊いた。

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