LDV68

終楽章〈アンダンテ・コン・モート〉は、このソナタ の——さらにはブラームスの全室内楽曲の——有 終の美を飾る。主題と変奏は、彼がとりわけ得意と した形式であるが、ここに至って、その扱いには類い まれな淀みのなさと気品がみとめられる。民謡風の 主題に基づく控えめで清澄で詩的な音楽が、幾度 か荒々しい語調を経ると、これ以上なく奔放な喜び の中で、最終(第5)変奏に終止符が打たれる。

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