33 ジョフロワ・クトー / ニコラ・バルデイルー / ジョフロワ•クトー / アントワーヌ•ドレフュス 第3楽章〈アダージョ・メスト〉は、暗い変ホ短調の響きに包まれている。この崇高な瞑想は、 まずピアノの讃美歌風の和音群によって支えられる。やがて、ホルンと絡み合うヴァイオリン の旋律が、痛ましい哀歌として現れる。それは、ブラームスの《ピアノのための四つのバラード 作品10》の清らかさと伝説めいた曲調をしばしば暗示する。つづいてホルンが剥き出しのパ ッセージを独奏し、これをヴァイオリンとピアノが順になぞる——ピアノは、まるで音楽の流れ を一時停止させるかのように、他の二つの楽器と対話を繰り広げることになる。やや不吉な クレシェンドを経て、冒頭の和音群が回帰する。哀歌が再び曲を支配すると、彼(あ)の世を 想わせる悲嘆の中で、この三重奏曲の第1主題が彼方で神秘的に回想される。伝説めいた曲 調は、その極みに達する。第3楽章が、しばしの絶望の流露によって閉じられると、全ては深 淵の中に沈む。 フィナーレ〈アレグロ・コン・ブリオ〉の手放しの歓喜は、前楽章とのコントラストを鮮明にす る。それはあたかも、直前の緊迫を解き放すかのようだ。シンコペーションを含むピアノ伴奏 に乗って、ヴァイオリンとホルンは純然たる「狩りの音楽」を見事に繰り広げるが、そのエネル ギーは時折、より哀愁を帯びた瞬間によって妨げられる。騎行を想わせる猛スピードの旋回 は、角笛の呼び声と奔放なファンファーレとともに、この滅多に演奏されない独創的な傑作 を陽気に閉じる。
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