32 ブラームス / クラリネット・ソナタ - ホルン三重奏曲 自由な形式の第1楽章〈アンダンテ〉では、まずヴァイオリンが安らかな旋律を提示する。それ は、伝説めいた音色を遠方で響かせるホルンに引き継がれる。牧歌的な交感の中で静謐な 曲調が確立されると、音楽は次第に活発になり、高ぶり、徐々に劇的になり、悲痛なモチーフ の乱入ゆえに悲劇的になったのち、突如メランコリーによって打ち砕かれる。冒頭主題の回 帰はホルンに託される。曲は、多幸感に満ちた感情のほとばしりとともに閉じられる。 第2楽章〈スケルツォ〉は、いわば終楽章の本格的な「狩りの音楽」に先立つ、最初の「狩りの 音楽」である。三つの楽器が、この18世紀に典型的な音楽ジャンルを熱狂的に展開するの だ。スケルツォ主題が荒々しく血気盛んに奏でられるいっぽうで、トリオ(中間部)は子守唄を 紡ぐ。それは、私たちがブラームスの作品群の中でしばしば接する子守唄に似た優しい歌で あり、ヴァイオリンとホルンのユニゾンで提示されたのち、ピアノに受け継がれる。
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