LDV156

53 ヴァシレナ·セラフィモヴァ | アルデオ四重奏団 エリック·サティは、ことあるごとに音楽仲間たちと仲たがいした。それでもサティが彼らの 影響を受けていたことは確かで、彼らもまた、サティの独創的な書法に関心を寄せた。サ ティは《冷たい小品》の管弦楽化を検討したが、結局、実現には至らなかった。このピアノ 曲集をマリンバ独奏用に編曲したセラフィモヴァは、こう説明している。「ドビュッシーやペ ルトの作品と並んで、私たちを時の枠外へと連れ出し、明確に定義された美学から解放し てくれる音楽を探しました。催眠的な性格によって、私たちの今この瞬間という時間感覚 を打ち砕くような音楽を求めたのです」 《冷たい小品》は、二つの連作(3曲の《逃げ出させる歌》と3曲の《ゆがんだ踊り》)から なる。本盤に収められているのは、1897年に完成した《ゆがんだ踊り》全曲の編曲である。 《ゆがんだ踊り》は、単一の楽想をもとに構築されており、物語性と夢想性をあわせも つ。ちなみにサティは、第1曲〈En y regarde à deux foi(s 二度見しながら)〉のタイトルを 「Regarde-le deux foi(s 二度見よ)」にするか「Donne-lui un bon regard(注視せよ)」に するか迷ったという。 この—じっさいの踊りには適さない—舞曲は、サティの他の作品ほど知名度は高くない。 編曲版では、マリンバが同一の主題にもとづく変奏という特性を引き立たせるだけでな く、旅や瞑想を想起させる。ジョン·ケージのように、この作品の中にミニマル·ミュージッ クの予兆を見た者もいる。

RkJQdWJsaXNoZXIy OTAwOTQx