LDV156

52 波にのせたメロディー アントニオ·ヴィヴァルディが1718年から1820年にかけて作曲した四つの協奏曲は、もと もと独奏ヴァイオリン、弦楽合奏、通奏低音のために書かれた。4曲は、協奏曲集『和声と 創意の試み』の第1~4曲として発表され、のちに《四季》として絶大な人気を博すことにな る。4曲は、テクストの描写とリズムの柔軟な変奏を両立させている点で他に類をみない。 テクスト、すなわちイタリア語のソネット(十四行詩)は、それぞれの季節を詩的に描いて いる。ゆえに標題的なこの音楽において、ヴィヴァルディは新たな響きを実験的に試して いる。本盤に収録されている、5名の奏者たちが共同で手がけた〈夏〉の編曲は、時にパラ フレーズ、さらには追憶の様相をも呈する大胆なアプローチだ。「もはや、どの音色が優位 を占めているのか分からなくなります。ある種の方向感覚の喪失を生み出すことが私たち のねらいです」と、彼女たちは言う。ヴィルトゥオジティの悦楽は、決して音に無理強いしな い。むしろそれは、ヴェネツィアの街の魅惑的な雰囲気を喚起しながら、霧の中から現れ る対話や、水に囲まれた世界のきらめく色彩から湧き出る対話を促していく。

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