46 波にのせたメロディー ジャン·クラの五重奏曲は、演奏される機会はまれであるものの、20世紀のもっとも優れ た室内楽曲の一つに数えられる。1928年に完成した同曲は、ハープ奏者ピエール·ジャメ (1893-1991)の委嘱により、もともとフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ハープの ために作曲された。1920年代に「パリ器楽五重奏団」を創設したジャメは、当時を代表す る偉大な教育者の一人でもあり、数世代にわたる後進を育てた。ジャン·クラは、海への 愛着を深めた音楽家の一人で、この五重奏曲も南方への航海に寄せる賛歌にたとえられ る。しかも、フランス海軍の艦艇内で書き上げられた同曲の手稿譜には、「1928年4月9日 トゥーロン、ラ·プロヴァンス号にて」と記されている。じっさいクラは1927年から1928年ま で、この戦艦の指揮を執っていた。
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