45 ヴァシレナ·セラフィモヴァ | アルデオ四重奏団 実のところ、マリンバ(ヴィブラフォンも加わる)と弦楽器の組み合わせは精妙なバランス のもとに成り立つ。躍動的で滑らかな音質のマリンバは、より鮮明なリズム的側面を演奏 にもたらし、協奏曲のソリストのような役割を演じることもある。一方、ぬくもりのある叙 情的な音色が持ち味の弦楽器は、時に濃密で時に透明な—いずれにせよ常にしなやか な—響きを織りなす。 編曲を通して音楽作品にオマージュを捧げる場合にも、原曲本来の芸術的な強みを損な うことのない精妙なバランスが求められる。本盤では、水、旅、遠き夢といったテーマのも とに変容を遂げている原曲もあり、めざましい音楽的成果をあげている。「私たちは、原曲 との近さや遠さがもたらす効果をねらっています。時に—とりわけジャン·クラとクロード· ドビュッシーの作品では—、より本能的で官能的とさえいえる雰囲気を追求しています」 主にセラフィモヴァが手がけた編曲は、これらの原曲同士の新たな関係性を浮き彫りに し、伝統と革新のあいだに橋をかけている。本盤の奏者たちによれば、それらの楽曲は「ド ビュッシーの印象主義的な美学が促す教会旋法の使用や、ガーシュウィンの洗練された ハーモニーを伴うポピュラー·ジャズ、そしてヴェネツィアの音世界でバロック時代の即興 の精神を喚起するヴィヴァルディの斬新な色彩」を通じて絡み合っている。 「次第に、原曲と編曲の旅は航海日誌のような形をとり、古き伝統と新たなインスピレー ションを交差させることになります。“波にのせたメロディー”は、プログラムというよりも 航路となることを欲しています。そこには海の水平線や都会の地平線、現実の風景や想像 上の風景、その一音一音が物語を書き改めていく音楽たちが詰まっているのです。それら が落ち合う空間で、何よりも美しい原動力となるのは好奇心です」
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