27 ナタリー·デセイ | フィリップ·カサール 当初、ドビュッシー、シャブリエ、フォーレ、デュパルク、ショーソンの歌曲に限られていた私た ちのレパートリーは、瞬く間に膨れ上がり、ルイーズ·ド·ヴィルモランの詩に基づくプーランク の歌曲集、フェリックス&ファニー·メンデルスゾーン、クララ·シューマン、ブラームス、ヴォル フ、R.シュトラウス、アルマ·マーラー、プフィッツナーのリート、ラフマニノフの歌曲などが加わ った。ウィーン楽友協会でのリサイタル——前半はオール·シューベルト·プログラム——を歌 い終えたナタリーが浴びた熱烈な喝采と絶賛は、私たちがシューベルト·アルバムを録音する きっかけとなった。 ナタリーは、私とのデュオでは“オペラのアリアは歌わない”というルールを設けた(「ふだん世 界最高峰のオーケストラと一緒にオペラを歌っているから、ピアノ伴奏でアリアを歌うことは しないの」)。それでも彼女は、ささやかな“規則違反”を犯して、モーツァルトの《フィガロの結 婚》の3役(スザンナ、バルバリーナ、伯爵夫人)を私の伴奏で歌ったり、意を決して、ピアノとオ ーケストラと共に演奏会用アリア《どうしてあなたを忘れられようか》を歌ったりもした。
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