2010年8月24日 パリ ナタリー·デセイ様 このように直(じか)にご連絡をする非礼をお許しください。というのも、ご相談したい件が、 言わば急を要するたぐいのものなのです。 さっそく本題に入ります: つい最近、フランシーヌ·ペロというお名前のご婦人——お祖父様がクロード&エンマ·ドビュ ッシー夫妻と親しかったそうです——が、ドビュッシーの約10点の自筆譜を私に寄贈してく ださいました。いずれもドビュッシーが若かりし頃に手がけた歌曲で、そのうち未刊の4曲は 音楽史家たちにすら知られていません。4曲とも実に興味深く、魅力とユーモアにあふれてお り、なかでも長めの《エルフたちLes Elfes》は、私が思うに秀作です。 (略) 端的に言います:これら未刊の歌曲から、その味わいと、ヴィルトゥオジティと、しかるべき 色彩とを余すところなく引き出せるソプラノ歌手など、ごまんといません。あなたしかいませ ん——私は心から、そう述べています。 22 渡り鳥
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