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43 ミシェル・ダルベルト ブラームス、あるいはヴィルトゥオジティの変奏 多くのピアニストにとって、《パガニーニの主題による変奏曲》(全2部)は、技術的に最難曲で あるという点で、聖杯のような存在である。アルフレート・ブレンデルが「太刀打ちできない恐 るべきピアノ曲」と呼び、クララ・シューマンが「魔女たちの変奏曲」と呼んだこの作品は、当時 のピアノ・テクニックの限界を押し広げただけではない——ブラームスは、厳格な構造の枠 組みのなかで次々と移り変わる印象や感情を喚起することによって、真の意味でポリフォニ ーを探求してもいる。 ミシェル・ダルベルトにとって「ブラームスは、シューマンやベートーヴェン、シェーンベルク、ワ ーグナー、フォーレと同じく、水平的・対位法的に音楽を思考する作曲家です。その和声は、 対位法と多声的書法から生まれています。またリズム的な要素は、ハンガリーの曲想から多 くのアイデアを得たブラームスの書法の重要な側面の一つです。彼のピアノ音楽にはオーケ ストラが潜んでいると言えますし、その逆もまた然りです!」

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